Yes Second Life

セカンドライフ向けWebサービスを作ってました。このブログではVR・メタバースのことを書いていきます

Facebookのメタバースは失敗する、VRの未来予想図

Facebookが社名をMetaに変更し、メタバース事業に注力することを発表しました。

www.nikkei.com

1兆円規模の投資でメタバース事業を育てていくという話ですが、自分は成功するかどうか懐疑的です。動画で示されたメタバースのイメージがあまりにも汎用的に作られていたからです。

メタバースは見た目が10割

メタバースはWebサイトや動画とは比較にならないほど見た目が重要です。テキストコンテンツの場合、イメージは各自の脳内で構築されるので勝手に好きな世界観になります。イラストや動画の場合は、僕らは検索で好きなものだけ見てまわることができます。さらに、リコメンド機能の進歩により自然と好みのコンテンツのみに触れることになります。

しかし、VRはそうはいきません。好きなものだけ見れたWebと違い、世界観を強制されます。常時強制的に見せられるのであれば、よっぽど好みにあった見た目であることが重要です。なのにFacebookが提案したVRは汎用的で最大公約数的な嫌われにくいけど誰にも刺さらないものでした。

VRの世界に入るには様々なデバイスをセットアップする必要がありコストが大きいです。それでも来てもらおうというときに誰にも刺さらない見た目では魅力が足らないと言うしかありません。

見た目の問題だけ対処できても世界観の提示はむずかしい

見た目の問題だけであれば、シェーダーをサーバごと、ユーザごとに自由に記述できるようにすれば解決するかもしれません(現状そこまで自由にカスタマイズできるメタバースはほとんどないですが)。

しかし、見た目さえ好みにすれば刺さるというわけでもありません。FPSのようなアクションを好きな層に来てもらうには、銃が撃てるようなAPIが必要です。しかし、逆にどうぶつの森みたいにのんびりやりたい人には銃の存在は邪魔になるかもしれません。

刺さる世界観というものは人によって異なり、それを1つの運営が1つのメタバースですべて実現するというのは並大抵のことではありません。汎用的に1つの世界でやろうとするほど結局誰にも刺さらなくなるのです。

メタバースが刺さるのでなく、刺さるコンテンツがメタバースになる

今、フォートナイトというゲームがメタバース的な使い方をされて話題になっています。まだメタバースとしては機能が足らないですが、今後もこういう事例は増えていくと思います。そして事例が増えていくと、こういうゲームにメタバース的な機能が追加されたり、もしくは最初からメタバース化することを睨んだゲームなどもでてくるのではないでしょうか。

汎用的なものを提示しても人には刺さりません。ならばすでに刺さっているコンテンツをメタバース化していくほうが希望が持てます。

メタバースの未来予想図

汎用的な1つのメタバースが席巻するのではなく、独自の世界観を持ったいくつもの仮想世界の集合体がメタバースになるというのが自分の考えです。マルチバースと言われてきたものに近いですが、これまでのマルチバースは汎用的なメタバースを繋いだものというイメージだったと思います。

各世界を行き来できるようにコアのプログラムは共通化しつつ、独自の世界観を出すためシェーダーやスクリプトエンジンは世界ごとに作れれば理想です。刺さる世界を作るにはコア以外はむしろ差別化があったほうがいいでしょう。

ちなみに独自の世界観を持ったメタバースとして、カバー株式会社のホロアースが現在開発中です。これが成功するかどうかが、この予想が当たるかどうかの試金石になるかもしれません。

alt.hololive.tv

好き勝手書いてきましたが、まあ机上の空論です。未来は結局手を動かしている人により作られていきます。自分の考えは違うなあという方はぜひコメント欄やTwitterなどで教えてください。