バーチャル美少女ねむさんが、メタバース人口統計レポートという記事を出したんですが、セカンドライフは今の人口とかどうなってるんだろうと気になったので、元セカンドライフ民が実データをもとにセカンドライフの現状について語ってみようと思います
なお、自分はセカンドライフには今もたまにインしますけど、活動としては新しいVRチャットアプリ制作がメインになっていてセカンドライフとは一定の距離を置いているというか、ある意味競合です
セカンドライフやVRChatは楽しいけど、コミュニケーション力がないと難しいと感じたことないですか?
— さぶろー@VRチャットアプリ開発中 (@sabro) 2024年3月22日
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どっぷりセカンドライフをやりこんでいる人が語るよりも、データに基づいて客観的に話せると思います
セカンドライフの現在の最大同時アクセスは5万人強
セカンドライフの同時アクセス数を取得できるフィードを、公式が用意してくれています
Linden Lab Official:Live Data Feeds - Second Life Wiki
このフィードは過去のデータは取得できないのですが、このフィードを定期的に取得してまとめてくれている方がいます
Second Life Statistics
こちらのサイトによると、2024年2月の同時アクセス数の最大値は51000人とのことでした。VRChatの現在の同時アクセス数が10万人くらいとのことなので、ちょうど半分ぐらいというイメージです
また、このフィードを2022年12月から取得し続けてGoogle SpreadSheetにまとめてくれている方がいます
グラフの赤い部分が同時アクセス数です。1日の中で30000~50000くらいを行ったり来たりしてるので折れ線なんですが帯みたいになってます。帯の中心にうっすら引かれている横線が同時アクセス数のトレンドです
MetaがVRに1兆円の投資を発表してメタバースブームが始まったのが2021年10月末。そこから1年くらいブームが続いたんで、このグラフの起点の2022年12月はちょうど幻滅期のあたりなんですが、ずっと同時アクセス数は一定になってます
ちなみに空前のセカンドライフブームだった2007年末の最大同時アクセス数は58000人くらいでした(Second Life で体験&探検: セカンドライフの同時接続者数・・・2007年後半)。今でも当時とあまり変わらない水準のユーザがいるようです
セカンドライフは、女性が半数近くログイン、年齢層は高め
セカンドライフの公式Wikiに、「なぜこんなに女の子が多いんだろう」というページがあります。ここでは女性が約50%ログインしていると書かれています
ちょっと盛られているような気もしますが、similarwebというサイトで公式ページへのアクセス数を見ると、男性が58.33%、女性が41.67%で、少なくとも40%以上は女性プレイヤーがいるように思われます。VRChatは現状、男性が76%で女性が24%とのことなので、他メタバースに比べてかなり女性比率が高くなってます
この比率は実際の感覚と一致します。セカンドライフを歩いていると女性プレイヤーがカフェなどで楽しそうにおしゃべりしているのをよく見ます。これは個人的な見解なんですが、VRChatのアバターが基本的には衣装の着せ替えができないのに対して、セカンドライフはリンデンが用意したアバターであれば服を自由に着せ替えられるので、ファッションやおしゃれを楽しんでいる女性が多数いるんじゃないかと思います
また、右側の年齢別のグラフを見ると、VRChatが18~24歳が59.5%だったのに対し、セカンドライフは27.55%になっており、年齢層はかなり高いようです
日本人の月間アクティブユーザは2万人弱
日本人の割合はWikipediaで2008年時点のものが見れます
日本の人口比率は4位で、5.65%になっています。しかし今はこの頃より結構変わっているんじゃないかと思います。セカンドライフ公式サイトの国別アクセスを見ると5位に入っていません(有料会員じゃないので5位までしか見れませんでした)。
2008年に4位だったことを考えるとおそらく日本人比率は、1.78~2.32%あたりだと思われます
しかし、実は「セカンドライフ」で検索すると老後のセカンドライフのサイトが上位に来て公式サイトへたどり着けないという日本特有の問題があり、公式サイトのアクセス数は日本は実際の値より少なく集計されてしまっていると思います
セカンドライフ全体の月間アクティブユーザは、2023年6月のこの記事を見ると75万人程度のようです
これに先ほどの比率を掛けると、13000~17000人くらい、先ほどの検索の問題を考慮すると、もう少し増えると思います。2万人弱くらいになるんじゃないでしょうか
追記
ブログを書いた後に教えてもらったんですが、TeleportHUBというセカンドライフプレイヤーの中で有名なサイトがあり、そこの日本人アクセス割合は4.3%あるそうです。下記リンクから遷移して画面下の国旗がたくさんあるところをクリックすると確認できます
この比率で計算すると、月間アクティブユーザは32000人になりますが、そこまではいない気もします。あくまで参考値ですが一応追記しておきます
本気で3Dインターネットを目指したから実現できた機能がある
今はイベント・ライブ特化や、モバイル対応などVRプラットフォームも時代に合わせたものが色々あります。しかし2007年当時、セカンドライフは時代に合わせるのではなく、3Dインターネットという時代を本気で創ろうとしていました。それゆえに実現できた夢のある機能が多数あります
サーバ間のシームレスな移動
セカンドライフは複数のサーバが集まって1つの大きな世界を作っています。驚くべきことにサーバの境界付近では隣のサーバの建造物が普通に見えますし、そのまま歩いてとなりのサーバへ移動できます。これが2007年の時点で出来ていたんだから、スゴイの一言です
ワールド内通貨でなく通貨がある
そもそもワールド内通貨さえないメタバースも結構ありますが、セカンドライフはワールド内通貨を飛び越えて、リンデンドルという通貨があります。ワールド内の商行為で使用できるだけでなく、ドルに換金できますユーザ同士で売買してドルに変えることができます(為替市場があります)。これも2007年の時点ですでに出来ていました
インワールドでクリエイションできる
現状のメタバースクリエイションの主流は、BlenderやUnityなどの外部ツールを使ったものです。一部ワールド内クリエイションができることを売りにしているメタバースがありますが、セカンドライフも当然あります。プリムという素体を拡大・縮小して連結して自由にオブジェクトを作成でき、そこにはスクリプトを仕込めます。スクリプトエディタもついてます。これが2007年の時点で(ry
現状でも機能面では最強クラスのセカンドライフ、だが・・・
機能面だけ見ればセカンドライフは今のメタバースに全然劣りません。むしろ2007年時点のセカンドライフに負けてるメタバースが結構あると思います。
しかし、セカンドライフは1つイケてない点があります。HMD(ヘッドマウントディスプレイ)に公式で対応していないことです。サードパーティビューワでHMDが使えるものはありますが、セカンドライフ自体がHMD向けに最適化されてないので体験はあまりよくありません。これは他の優位性が帳消しになるほどの欠点だと個人的には思います。HMDが世に出る前からリリースされていることが逆にHMD対応を難しくしています
なお、セカンドライフはモバイル版ビューワが現在開発中です。2024年度中にベータ版が出る予定になってます
Androidにも対応ということで、ワンチャンQuestにも対応しないかと期待しています
セカンドライフのこれから
セカンドライフはモバイル版ビューワのほかにも、色々新機能が予定されています
- グラフィックの基盤がOpenGLからVulkanへ変更
- Luaスクリプトが使用可能になり、UIやプラグインが作成可能に
- 物理ベースレンダリング(PBR)による高品質なグラフィック
- WebRTCベースの高品質、高信頼のボイスチャット
- Webカメラで動作をキャプチャしてアバターを動かせるPuppetry
ずっと黒字経営を続けているので、これからも安定して運営を続けていく体力があります。おそらくかなり長期的な視野で考えていると思います
現状でもVRChatの半分くらいのユーザがいるので、HMDに対応すれば全然追いつける可能性もありそうです