VRの強みを考えたら、メタバースが流行らない理由が見えてきた
VRの強みとは?
Webと比較した際の、VRの強みって何だと思いますか?さぶろーが考えるWebの強み、VRの強みはこんな感じです
- Webは多くの人とゆるくつながるのが得意
- VRは少数の人と濃いコミュニケーションをするのが得意
聞いてみれば当たり前の内容で、小学生でもこう答えるんじゃないかっていう感じですよね。では、メタバースはこの強みを生かしていると言えるでしょうか
にぎわいを目指してしまったメタバース
メタバースは兎にも角にも人をたくさん集めることを目指しているようにみえます。アバター描画コストに制限を設けてでも、同一サーバにたくさん人が入れるようにしました。でも、それってVRの強みを生かしていると言えるでしょうか?
人がたくさん集まると、色々な人がいるのである程度当たり障りない話題で会話する必要があります。特に人が集まってるサーバを目指して訪問者が無選別でやってくる今のメタバースでは同質の人を集めるのは難しいでしょう。それで本当に濃いコミュニケーションができるでしょうか
濃いコミュニケーションをするなら人を厳選するべき
濃いコミュニケーションをするなら人は厳選するべきです。同じ趣味の少数で集まってマニアックな話題で早口で盛り上がるみたいなのが、さぶろーの考えるVRの強みを最大限に生かした状態です
メタバースはWebに追従するあまり、たくさんの人を集めようとしてVRの強みを生かせていない感じがします
競うな、持ち味をイカせッッ!
Webであれば、たくさんの人が集まり色々なことを言っていても反応せずにスルーできます。それこそがWebの強みで、たくさん人がいても反応したい相手とだけゆるく絡めます
VRのような真正同期コミュニケーションの場合こうはいきません。話しかけられたら、基本何か返さないといけません。その代わりに、テキストをちまちま打つもどかしいコミュニケーションでなく、見つめあいながら早口でまくしたてるような濃密なコミュニケーションができる強みがあります
濃密なコミュニケーションがとれる環境を作り、VRの強みを生かすことでWebにはない価値を出せると思います
文書をつくることと世界をつくることの違い
ネット最盛期の今、世の中には次々と文書が作られています。それに対しVRで作られるのは文書ではなく「世界」です。文書をつくるのと世界をつくるのでは、やり方を変えないといけません。それなのに今のメタバースはあまりにもネットで成功したやり方を真似しすぎているように僕は感じます
どういうところが真似に感じるか、まずは説明していきます
ネットはサーバからクライアントへの通信をHTTPで行い、取得した文書はHTMLにより整形されて表示されます
このHTTPとHTMLが標準化され、さらにオープンに公開されることでネットは発展してきました。仕様さえ標準化されていれば様々な製品が協調して動くことができます。サーバはApache、nginx、クライアントは、Chrome、Firefox、Safariなど、色々な製品がつくられ、それらが健全に競争することで進化がさらに加速しました
それに対して、今のメタバースの仕組みをおおまかに示すと次のようになります
HTTPが独自プロトコルに、HTMLが独自ゲームエンジンに置き換わっていますが、全体的な構成は非常によく似ています
プロトコル、エンジンが独自になっていますが、そこが標準化されてないのが問題だと僕は思いません。むしろエンジンの独自性が足りないのが問題だと考えています
「文書」と「世界」のコンテンツ特性の違いを考えながら詳しく説明します
HTTPで送信される文書は、テキスト、画像、動画などがあります。これらは組み合わせで面白さを強化できますが、基本的にはそれぞれが単体でコンテンツとして完結しています。よいイラストはそれだけ見ていても素晴らしいし、面白い動画はそれだけ見ていて面白いです
その場合、HTMLはそれぞれのコンテンツの並び方が指定できるくらいで十分です。並び方の指定だけでいいので標準化もそんなに難しくありません
それに対してメタバースの「世界」はそんなに単純ではありません
テスクチャや動画を単に並べただけでは世界としては不十分で、それらがどうインタラクションするかが重要です。そのためメタバースのエンジンはコンテンツの並べ方だけでなく、どういうインタラクションを付けるのかが重要になります
アクションゲームにはアクションゲームのインタラクションがあります。同様にシューティングにもパズルにもRPGにもサンドボックスにも、それぞれに別々のインタラクション設計が必要です
文書でのイラスト、動画がそれ単体でコンテンツとして成立していたのに対し、メタバースでは様々なテクスチャ、モデルと、ジャンル専用のゲームエンジンを組み合わせて初めてコンテンツとして成立します
しかしメタバースのゲームエンジンはサンドボックスに特化した設計になっています。メタバースでは色々できるように見えて実際に楽しめるのは数あるゲームジャンルの中のサンドボックスだけなのです
メタバースの言い分としては、ゲーム内スクリプトで色々作ってほしいということなんだと思いますが、現状ゲーム内スクリプトには1つのゲームジャンルをまるごと再現できるほどの力はありません
自分が考える理想的なメタバースのプロトコルは次のようなものです
通信のプロトコルはある程度標準化していいと思います。アバターなどの情報が同一の規格で取得できることで色々な世界に同一のアバターで参加できます。一方クライアント側のエンジンはあえて標準化しないことで様々な世界が楽しめます
メタバースを社会インフラとして考えた場合、エンジンが1つのほうが都合がいいことは分かります。しかし、そもそも面白い世界でなければ人が来てくれません。面白い世界を作るのは面白いゲームエンジンです。メタバースはクリエイターが作る様々なゲームエンジンのクリエイティビティを舐めているとも言えます
ネットがプロトコルを標準化、オープン化して成功したのは、独自の仕様でガラパゴス的に囲い込む日本のやり方と比べても思想的に素晴らしいものだったと思います。しかし、ネットの成功の大きさ、思想的素晴らしさを信奉するあまり、VRに合ったエンジン構想を考えるのではなく盲目的にHTML同様1種のエンジンにしてしまったため停滞しているのが今のメタバースだと思います
Facebookのメタバースは失敗する、VRの未来予想図
Facebookが社名をMetaに変更し、メタバース事業に注力することを発表しました。
1兆円規模の投資でメタバース事業を育てていくという話ですが、自分は成功するかどうか懐疑的です。動画で示されたメタバースのイメージがあまりにも汎用的に作られていたからです。
メタバースは見た目が10割
メタバースはWebサイトや動画とは比較にならないほど見た目が重要です。テキストコンテンツの場合、イメージは各自の脳内で構築されるので勝手に好きな世界観になります。イラストや動画の場合は、僕らは検索で好きなものだけ見てまわることができます。さらに、リコメンド機能の進歩により自然と好みのコンテンツのみに触れることになります。
しかし、VRはそうはいきません。好きなものだけ見れたWebと違い、世界観を強制されます。常時強制的に見せられるのであれば、よっぽど好みにあった見た目であることが重要です。なのにFacebookが提案したVRは汎用的で最大公約数的な嫌われにくいけど誰にも刺さらないものでした。
VRの世界に入るには様々なデバイスをセットアップする必要がありコストが大きいです。それでも来てもらおうというときに誰にも刺さらない見た目では魅力が足らないと言うしかありません。
見た目の問題だけ対処できても世界観の提示はむずかしい
見た目の問題だけであれば、シェーダーをサーバごと、ユーザごとに自由に記述できるようにすれば解決するかもしれません(現状そこまで自由にカスタマイズできるメタバースはほとんどないですが)。
しかし、見た目さえ好みにすれば刺さるというわけでもありません。FPSのようなアクションを好きな層に来てもらうには、銃が撃てるようなAPIが必要です。しかし、逆にどうぶつの森みたいにのんびりやりたい人には銃の存在は邪魔になるかもしれません。
刺さる世界観というものは人によって異なり、それを1つの運営が1つのメタバースですべて実現するというのは並大抵のことではありません。汎用的に1つの世界でやろうとするほど結局誰にも刺さらなくなるのです。
メタバースが刺さるのでなく、刺さるコンテンツがメタバースになる
今、フォートナイトというゲームがメタバース的な使い方をされて話題になっています。まだメタバースとしては機能が足らないですが、今後もこういう事例は増えていくと思います。そして事例が増えていくと、こういうゲームにメタバース的な機能が追加されたり、もしくは最初からメタバース化することを睨んだゲームなどもでてくるのではないでしょうか。
汎用的なものを提示しても人には刺さりません。ならばすでに刺さっているコンテンツをメタバース化していくほうが希望が持てます。
メタバースの未来予想図
汎用的な1つのメタバースが席巻するのではなく、独自の世界観を持ったいくつもの仮想世界の集合体がメタバースになるというのが自分の考えです。マルチバースと言われてきたものに近いですが、これまでのマルチバースは汎用的なメタバースを繋いだものというイメージだったと思います。
各世界を行き来できるようにコアのプログラムは共通化しつつ、独自の世界観を出すためシェーダーやスクリプトエンジンは世界ごとに作れれば理想です。刺さる世界を作るにはコア以外はむしろ差別化があったほうがいいでしょう。
ちなみに独自の世界観を持ったメタバースとして、カバー株式会社のホロアースが現在開発中です。これが成功するかどうかが、この予想が当たるかどうかの試金石になるかもしれません。
好き勝手書いてきましたが、まあ机上の空論です。未来は結局手を動かしている人により作られていきます。自分の考えは違うなあという方はぜひコメント欄やTwitterなどで教えてください。
VR技術で今なにをつくるべきか(後編)
この記事は、セカンドライフ技術系アドベントカレンダー2020の、25日目の記事です。
前編に引きつづき、こんかいはVRでソフトを作る際の具体的な注意点について考えていきます。
没入感をさまたげない
VRの世界はいくらリアルに作られているとはいっても、現実世界ではないということはよくみればわかります。それを脳が補完して実在の世界に入っているような感覚を味わうことができます。
気を散らすような演出をして脳の注意を逸らすと、この没入感がきえてしまいます。以下のようなことは、あまりしないようにしましょう。
- アラートやメッセージを頻繁にだす
- 過剰なHUD
- PAUSE機能で画面を停止させる
NPCは使わない
VRでながらく人気があるソフトというと、どのようなものを思い浮かべるでしょうか。
人気ソフトの一角として、ビートセイバーや、The Climbのような、基本的にひとりで世界に入って遊ぶタイプがあります。だれにも邪魔されることがないので、深く世界に没入することができます。
またそれとは対極的に、VRChatのようにたくさんの人が集まるタイプのソフトもVRで重要な位置をしめています。
しかし、NPCが重要なポジションをしめている人気ソフトというのはあまり見当たりません。
これは自分の思う仮説なんですが、今のAIレベルでNPCを作成するといかにも作り物といった感じがでてしまい、仮想世界への没入感をそいでしまうのではないかとおもいます。
個人的には、NPCは視覚、聴覚をもって、視界の変化や音に反応して動作をかえるぐらいまでいかないと使いものにならないとおもっています。
VR特有の制限を逆手にとるべし
テレビゲームはあくまで「あちら側の世界」、自分の体とは分離されているためあちらのキャラクターは、ゲームパッドで自由に動かせます。入力系統の自由度はかなり高いといえます。
一方、世界と自分の体が密に結合しているVRでは、さまざまな制限があります。まず視点は基本的に一人称視点固定になります。また本格的な設備がない状態でVRをプレイする場合、自分は座ったままなのにゲーム内の体は歩きまわるみたいな齟齬もでてきます。
こういった条件を逆手にとって見事にゲームに落とし込んでいる作品が、「Last Labyrinth」や、「星の欠片の物語,ひとかけら版」です。
どちらも、プレイヤーは動くことができず、NPCに指示をだすことで謎を解いていきます。プレイヤーが動かないという設定のため、自分が座ってプレイしていても齟齬がおきません。見事にVRの制限を逆手にとっています。
個人的にはNPCを使用した作品は没入感を削ぐためよくないとおもっているのですが、これらの作品はNPCをメインにすえつつも、一定の存在感をだしています。
上記2作品は自分が動けないという齟齬をうまく解消していましたが、一人称視点のほうも、視界がせまくなることを活かして探索タイプのゲームにしたり、対戦で相手の背後をとることが重要なゲーム性にしたり、工夫次第でゲームに活かしていけるとおもいます。
セオリーのない世界で創作を楽しもう
こんかいはより具体的なポイントをみてきましたが、正直これらが絶対に正解かというと、なかなかそうも言いきれません。VRにはいまだに大成功をおさめた定番ソフトというものがなく、ソフトを作る際のセオリーができていないのです。
正解のない創作の世界で、仮説を立て、実装し、検証していく作業は大変でもあり、またスリリングで面白くもあります。ぼくらが足掻いた結果が次の時代のセオリーになればこんなにエキサイティングなこともありません。
とても挑戦しがいのある世界、それがVRのソフト開発だとおもいます( ̄∇  ̄ )
VR技術で今なにをつくるべきか(前編)
この記事は、セカンドライフ技術系アドベントカレンダー2020の、24日目の記事です。
魅力的なヘッドマウントディスプレイが去年から今年にかけてVRブームを起こしました。ハードウェアは及第点のものが出てきています。しかし、ソフトウェアはビートセイバー等がブームを起こしたものの、ハードを牽引できるほどのものが出ずVRブームは収束しつつあります。
ハードの充実が進む中、VRを盛り上げるためにどんなソフトを作っていけばいいのか考えていきます。
直近の課題はヘッドマウントディスプレイの普及
VRを盛り上げるための直近の課題は、ヘッドマウントディスプレイの普及です。ハードの性能が充実してきたという話と一見矛盾するようですが、ヘッドマウントディスプレイの普及率はまだまだ低いです。
ヘッドマウントディスプレイが普及すれば、投資家にVRをマーケットとして見てもらえるようになります。するとベンチャーや優秀なクリエイターにお金が流れ面白いソフトもたくさん作られます。それを遊びたいユーザがハードを購入し正のサイクルが回るようになります。
去年から今年にかけてのVRブームでは未来への期待も込みで多少なりともこのサイクルが回っていました。しかしハードの普及が頭打ちになり投資も減ったようにおもいます。実際にハードの出荷台数を増やすことで、期待のような一過性のものでなく長期的にサイクルをまわしていくことが重要です。
そのために現状ハードを物珍しくて買っている層をこえて、なにかおもしろいソフトがでたら欲しいかもと思ってる普通の人に買ってもらえるようにしなければなりません。
しかし、鶏と卵ですが今は投資がまわってないのでソフトがなかなか作られません。そこで自分のような半ば趣味で楽しんでるレベルの人がコツコツとなにか作っていく必要があるわけですね。
前提知識なしでふつうの人が遊べるものを
VRという概念が広まったのはセカンドライフを筆頭とするメタバースからと言っても過言ではないと思います。今もVRChat等のユーザが作る仮想世界というのはVRを牽引する重要なコンテンツになっています。
自分もメタバースで色々作りましたし思い入れがあります。しかし、メタバースは普通の人にはむずかしすぎるのです。
まずはモデリングやスクリプトみたいな知識がなくても十分に遊べるやさしいコンテンツが必要です。また始めてから人にあったりスキルがついたりするまでに時間がかかるのもメタバースのよくないところです。始めて2秒で楽しい!くらいでないといけません。
まずは、簡単!はやい!面白い!を目指しましょう。
ただ、メタバースはこのまま消えていくわけではありません。ハードが普及して裾野が広がり、制作が簡単にできるツール類が発展してきた際にその存在感はとてつもなく大きくなるでしょう。
メタバースは最後にやってきます。
じゃあゲームをつくればいいの?
だれでも遊べて即楽しいとなるとゲームをつくればいいんじゃないかと思うかもしれません。でもぼくの考えは少しちがいます。
VRならではというゲームもありますが、たとえテレビでプレイしたとしても人間の脳は足りない部分は補完して、ゲームの世界に入りこめるのです。実際多くのVRゲームはテレビでプレイしてもそれほど遜色なく遊べてしまうのではないでしょうか。
VRの世界にきてもらうには、VRでしかできないことを盛りこんだソフトを作る必要があります。ぼくがVRにしかできないと感じていることは2つです。
VRにしかできないこと
1. 人が操るアバターの息遣い、動き、そこに実際にいるという感覚
ヘッドマウントディスプレイでは、目の動きや首の角度など、さまざまな体の動きをトラッキングできます。それをアバターへ反映させればNPCとは違った本当に息遣いを感じさせるような存在感を出すことができるでしょう。
いくら脳が補完が得意だからといってもテレビに映っているアバターをここにいるようだと感じることはできません。テレビの世界はいくら補完しようが「あちらの世界」の出来事だからです。それがVRならまさに「いまこの世界」でアバターと一緒になれるのです。
2. 特殊なデバイスによる、体の動作がVR世界と同期する感覚
VRの世界ではハンドトラッキングや全身のトラッキングなども特殊なデバイスを使用することで可能になります。
同じことはテレビとKinectでもできそうな気がしますが、実はそうでもありません。体の動作で「あちらの世界」のキャラクターを操作することと、「いまこの世界」にいる自分を動かすことはぜんぜん違います。具体的にいうと前者は視覚、聴覚などを同期できていません。
今なにを作るべきか
上記の1を活かして成功しているのがVRChat、2を活かしているのがビートセイバーといったところでしょうか。
これらを活かしたゲームというのもつくれるとは思いますが、人が操るアバターの存在感を活かすのであれば、コミュニケーションツールのほうが向いているのではないかというのが、いまのぼくの感想です。
チャット、セックス、ネット有名人オンラインサロンなどなど、VRはそういうものであればテレビ画面ではできない体験を提供できるでしょう。自分もゆっくりとではありますが、一風変わったチャットツールを作っています。気長にお待ちいただければ幸いです。
明日は、より具体的にソフト製作時の注意点などを書いていきます( ̄∇  ̄ )
【再掲】透視投影変換を使ってロックオンできるHUDをつくる
この記事は、セカンドライフ技術系アドベントカレンダー2020向けの記事です。
カレンダーも歴史が長くなったので、今回は過去記事の再掲もアリになっています。新規のユーザにも知見を広げていきましょう( ̄∇  ̄ )
自分も過去に人気があった記事を再掲します。以下記事を参考にすると3D空間上のオブジェクトをロックオンするようなHUDを作れます。応用範囲が広いのでぜひ活用してみてください。
自分は初日なので説明もかねてブログ記事からリンクを貼りましたが、アドベントカレンダーに参加する場合、Twitterから過去記事にリンクしたり、直接過去記事のURLを投稿してもらっても大丈夫です。お気軽に参加してください( ̄∇  ̄ )
セカンドライフ Animesh 応用編
この記事はセカンドライフ技術系アドベントカレンダー2019向けの記事です。
セカンドライフ技術系 Advent Calendar 2019 - Adventar
前回の基本編でオブジェクトをアニメーションさせれるようになったのですが、あのままではずっとその場で再生するだけです。セカンドライフにはPathfindingというオブジェクトをNPCのように動かす機能があります。今回はそれと組み合わせることで、NPCのように動作するAnimeshを作成してみます。
Pathfindingとは
Pathfindingとは、オブジェクトをNPCのように動作させる仕組みです。オブジェクトに以下のような動作をさせられます。
目的地へ移動 | llNavigateTo |
追跡 | llPursue |
逃走 | llEvade |
離れる | llFleeFrom |
巡回 | llPatrolPoints |
徘徊 | llWanderWithin |
AnimeshとPathfindingを組み合わせる
今回は追跡のPathfindingとAnimeshを組み合わせて、自分についてくるNPCを作ってみます。ずっと歩くアニメーションを再生していると自分が止まったときにも歩き続けて不自然なので、Timerで自分の速度を監視して一定の速度以下になったらアニメーションを停止するようにしてみます。
// 歩きのアニメーション名 string ANIM_NAME = "walk"; default { state_entry() { // このオブジェクトをPathfindingのキャラクターに設定、追跡速度は2.0 llCreateCharacter([CHARACTER_DESIRED_SPEED, 2.0]); // オブジェクトオーナーの追跡を開始 llPursue(llGetOwner(), []); // 0.25秒ごとにタイマーイベント設定 llSetTimerEvent(0.25); } on_rez(integer start_param) { // Rez時にリセット llResetScript(); } timer() { // 一定の速度以下の場合 if(llVecMag(llGetVel()) < 0.1) { // 歩きのアニメーションを停止する llStopObjectAnimation(ANIM_NAME); } // 一定の速度以上の場合 else { // 歩きのアニメーションを実行する llStartObjectAnimation(ANIM_NAME); } } }
アニメーションを実行中にllStartObjectAnimationしたり、停止中にllStopObjectAnimationしてもエラーはでなかったので、チェックはなしでシンプルに実装しました。実際の動作は動画でどうぞ( ̄∇  ̄ )
AnimeshをPathfindingと組み合わせることで、かなり本格的なNPCがつくれます。単についてくるだけじゃなくてウロウロさせたり逃走させたり色々できるので可能性無限大ですね( ̄∇  ̄ )